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各ハウスの「いま」をお伝えしています
みんなにとどけ ファシリティドッグと笑顔と勇気
2024年03月21日 (木)
こんにちは、「ふちゅうハウス」のハウスマネージャーの渡井です。
今回のブログでは、ハウスを利用して病気と向き合う男の子と、彼を支える「ファシリティドッグ」という犬についてご紹介します。
小学生3年生の時に血液の病気であることがわかり緊急入院したトミ君は、「ふちゅうハウス」が隣接する東京都立小児総合医療センターでファシリティドッグであるアイビーと出会い、アイビーたちファシリティドッグの絵を描き始めました。
約3年間にわたり、入院期間中もずっと描き溜めた絵の数々。それらは現在、本ブログと同じ「みんなにとどけ ファシリティドッグと笑顔と勇気」というタイトルで、「ふちゅうハウス」に展示されています。
本ブログでは、ファシリティドッグのハンドラー※の大橋さん・そしてトミ君ご本人とお母様にインタビューをし、「そもそもファシリティドッグとは?」「ファシリティドッグがいる入院生活とは?」について、語っていただきました。ぜひ、最後までご覧ください。
※ハンドラー:ファシリティドッグをあつかう研修を受けた、臨床経験のある看護師さん
ファシリティドッグってなあに? ~ハンドラーの大橋さんより~
(ハウスへ展示を見に来てくださった大橋さん。隣にはアイビーの等身大パネルも!)
病院で医療スタッフと一緒に働く犬がいること、ご存じですか?
ファシリティドッグとは「特定の施設で職員の一員として活動する、専門的な訓練を受けた犬」のことで、現在、常勤のファシリティドッグが国内4つの小児病院で働いています。東京都立小児総合医療センターで働いているのは、ファシリティドッグのアイビーです。処置を受けるときに寄り添ったり、一緒にリハビリしたり、患者さんがリードを持って手術室までお散歩しながら入室したり、アイビーは入院中の様々な場面で活躍しています。
トミ君との出会いも入院中の一場面でした。
お薬を飲むのに苦戦していたトミ君に「アイビーも一緒に飲むよ」と、毎日飲んでいる大きなサプリを使って応援、その時はお薬をうまく飲むことはできなかったけれど、アイビーの応援が後々トミ君の勇気になったようでした。
みんなを応援するアイビーを、毎日絵を描くことで応援してくれているトミ君。その力強く生きる様子に、アイビーもまた勇気をもらっています。
トミ君インタビュー「病気のこと、ファシリティドッグのこと」
現在、「ふちゅうハウス」のロビーとリビングにたくさんの絵を展示し、トミ君の言葉とともに多くのご家族や来訪者の方々に観ていただいています。展示のことや病気のこと、ファシリティドッグのいる入院生活について、トミ君とお母様にインタビューしました。
―――
ふちゅうハウス:ハウスでの展示やSNSで多くの方々の関心が集まりましたね。
トミ君:アイビーやファシリティドッグのことをたくさんの人に知ってもらえて嬉しいです。自分が絵を描くことでファシリティドッグの応援ができ、僕も達成感を感じられます。そして、ファシリティドッグに寄付がもっと集まればいいなと思います。
ふちゅうハウス:今回、トミ君の絵を、ハウス滞在のご家族だけでなく、ハウスのボランティアやハウスを支援する会社の人たちも大勢観る機会がありました。でも観た人のほとんどがファシリティドッグの存在を知らなかったんです。「病院で働くワンちゃんがいるのねぇ。」と驚かれました。
トミ君:ファシリティドッグってそんなにまだ有名じゃなかったんだなって思いました。(骨髄移植をした)名古屋大学病院でも、知っている人があまりいませんでした。
自分の絵を見てファシリティドッグを知ってもらえてよかったです。ファシリティドッグがもっと増えて、病気と闘っている子や家族を励ませるようになるといいなと思います。
ふちゅうハウス:このことでもっとファシリティドッグが増えるきっかけになるかもしれませんね。ところで、もともと絵を描くのは好きだったんですか?描く上でのコツはありますか?
トミ君:描いてなかったです。
ふちゅうハウス:気が付いたらクレヨンを握っていたっていうことではないのですね。
トミ君のお母さん:気が付いたら何握ってた?
トミ君:木や石(を握ってた)。保育園では絵はあまり描かないでチャンバラをしていました。入院前も直前まで合気道や野球、フットサルをしていました。入院して、アイビーを応援したくて絵を描き始めました。
ふちゅうハウス:「そこにアイビーがいたから」なんですね。生きている物の絵を描くのは難しくないですか?
トミ君:難しいです。
ふちゅうハウス:でもトミ君の描くアイビーは右向きも左向きも正面からのもあり、自由自在ですね。
トミ君:初めて描いたのは正面からのアイビーでした。目が生き生きしているように描きたいと思っています。目でファシリティドッグの気持ちがわかるように描くとか、目を大事にして描いています。
ふちゅうハウス:確かに、だからトミ君の描くアイビーは表情が生き生きとしているのですね。うまく描ける時とそうでない時ってありますか?
トミ君:あります。どういう時って決まっているわけではないけれど…。
最初は本物みたいに描きたいと思っていました。本物みたいに描きたいのにうまく描けなくて自分の絵はダメだと思っていました。でも大橋さんや病棟のいろんな人が褒めてくれたので、アイビーを応援するためにたくさん絵を描くようになりました。本物を見ながら描きたいけれど、アイビーにはなかなか会えないので、(運営母体の)シャイン・オン・キッズのFacebookの写真を見て描いています。
今は写真みたいに描くのではなく、そこに本物がいると感じられるような、まるで生きているような絵を描きたいと思っています。その絵がある意味を考えています。
ふちゅうハウス:なかなかに深い考察ですね。ところで治療中は大変なこともあると思います。ファシリティドッグ以外にも元気をもらえるものはありますか?
トミ君:ええっと家族・・・
トミ君のお母さん:「自分」って言ってたのに!(笑)
トミ君:あ、「自分」だね(笑)。
自分がプラス思考で、好きなことで笑っていられること。
家族とか、友達とか、友達の家族とか、病院で働いてくれる人たちとかがいるから、自分は楽しいことが見つけられてプラス思考でいられます。
治療は大変だけれど、自分がマイナス思考にならないように、「入院している僕たちにとって治療するは当たり前のことだし、今の時代のここにいる子どもだから、治療ができてラッキー」と思えば楽になります(笑)
入院中、プラス思考で治療ができたのは本当によかったです。病院のいろんな人が子どもたちの気持ちを考えてくれて、入院生活も良いこともあると思いながら生活できたのでよかったです。もし初めて入院したところが大人の病棟だったらそういう気持ちにはならなかったと思う(笑)
トミ君のお母さん:入院当初は美味しいと思っていたごはんも毎月同じメニューで飽きてしまい、食べたいものが食べられないストレスが溜まってきた頃に、大橋さん(ファシリティドッグのハンドラーさん)が「『家に帰ったら食べるものリスト』作るといいよ。」とアドバイスをくれました。それで、『やりたいのにできなくて、つらいこと』と考えるのではなく、『できるようになったらする楽しみなこと』を考えるようになりました。都立小児で大橋さんとアイビーに出会ったことは、プラス思考ができるようになるきっかけにもなりました。
ふちゅうハウス:そういえば昨日はお誕生日でしたね。おめでとうございます(インタビューをした日の前日がトミ君のお誕生日でした)
トミ君:ありがとうございます。
10歳の誕生日の時に、ファシリティドッグを1年間毎日描くことにしました。11歳の時も、12歳の時も描き続けて、3年になりました。
ふちゅうハウス:中学にあがって学校のことが忙しくなると思いますが、これからも描き続けて、またアップデートしたものを皆さんに披露してほしいです。
トミ君:はい、そうしたいです。学校は体調が悪くてあまり行かれていないので忙しくないし、体調が悪い時もファシリティドッグを描くと達成感を感じられるので、ファシリティドッグをみんなに知ってもらうために描き続けたいです。
ふちゅうハウス:また描き溜めたら「ふちゅうハウス」に展示してください。今日はお話を聞かせていただいてありがとうございました。
あとがき
「ファシリティドッグがいると入院中の子どもも治療に前向きになれることが増えます。
プラス思考になれると入院中でも笑って元気にいられます。
ファシリティドッグは、ぼくたちを癒してくれる、勇気の犬です。」
と、力強くお話してくれたトミ君。
今日も東京都立小児総合医療センターではファシリティドッグのアイビーが、病気と向き合う子どもたちに笑顔と勇気をもたらしてくれています。そして辛い治療に前向きになれることがどれだけ有効なことかを、トミ君のお話から伺えたような気がします。そのためにももっとファシリティドッグが増えることを願って止みません。
私たちドナルド・マクドナルド・ハウスも、ファシリティドッグのように、病気と向き合う子どもとそのご家族が少しでも前向きに・笑顔でいられるサポートを、これからも続けてまいります。
ファシリティドッグやドナルド・マクドナルド・ハウスについて、もっと知りたい/応援したいと感じてくださった方は、ぜひ↓のHPもご覧ください。
<公式HPのご案内~活動へのご支援もこちらから~>
■ファシリティドッグ:特定非営利活動法人シャイン・オン・キッズ HP
■ドナルド・マクドナルド・ハウス: 公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンHP
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
それでは、また!
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